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Tableau(タブロー)でBEP(損益分岐点)を図表化してみる

Tableau(タブロー)でBEP(損益分岐点)を図表化してみる

 

みなさん、こんにちは。
すっかり季節も秋となってしまいました。いかがお過ごしでしょうか?

実は、ブログ投稿が今年初となります^^;  スミマセン…。
あらためて、業務または、弊社講座にご参加いただいた際にご質問いただいた内容などに絞りながら、内容を抽象化してブログでみなさまに共有していきます。
オープンイノベーションの精神で、引き続き、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

Q. TableauでBEP(損益分岐点)を描く良い方法はありますか?

 BEP(損益分岐点)を図表化する方法の一つとして、一次関数を用いる方法が一般的かと思います。ただ、一次関数は若干、扱いづらいため、本日は、時系列データで管理する方法をご紹介いたします。

 なお、BEP(損益分岐点)にかかわる細かい用語定義・計算式などは、他サイトですでにたくさん紹介されております。こちらのブログで詳細は扱いません。他サイトでご参考いただけますと幸いです。

 

 

| BEP(損益分岐点)Break Even Pointの図表化

 今回は、下記のデータを取り扱ってみます。
 基幹データで管理されている売上は、ほとんどの場合、時系列データとして管理されているかと思います。特に、特別な理由がなければ、そのまま時系列データで扱えば良いかと考えます。

 

ダウンロードはこちら
下表は、2021年度(会計年度開始1月)における売上・固定費・変動費の予想となります。この場合の損益分岐点他をダッシュボードとして扱います。

 

完成図

 

 

| 作成手順

その① BEPシート

▶︎ポイント

・チャートのベースは、複合軸(共有軸)を採用
・月(オーダー日)のヘッダーを非表示にする
・縦軸(値)のスケールを15,000,000で固定
・売上を簡易表計算で累計指定
・総費用を、以下の計算式で作成
 TOTAL(SUM([固定費])) + RUNNING_SUM(SUM([変動費]))
 TOTALとRUNNING_SUMは、ともに表計算関数です。TOTALは、表の総合計を算出するのに対して、RUNNING_SUM関数は、表の先頭から順次累計していきます。表の先頭をどこにするかは、「次を使用して計算」機能で決定されます。
 固定費をTOTALにする理由は、固定費総計に加えて変動費を累計する仕様になっているためです。
・固定費をリファレンスラインで設定する
 マークカードの詳細に、固定費を事前に配置しておく必要があります。固定費は、月別固定費ではなく固定費総計として考慮する必要があります。そのため、リファレンスラインを活用します。
 

 

 

 

その② クロス集計表シート

▶︎ポイント

・チャートのベースは、クロス集計表を採用
・変動比率は、下記式で計算式を作成
 変動比率とは、売上に占める変動費の割合です
 SUM([変動費]) / SUM([売上])
・損益分岐点は、下記式で計算式を作成
 損益分岐点とは、利益も損失もない状態(収支がトントン)です
 TOTAL(SUM([固定費])) /(1-[変動比率])
・限界利益は、下記式で計算式を作成
 限界利益が固定費を超えていれば、固定費は全額回収可能です
 SUM(売上) – SUM([変動費])
・限界利益率は、下記式で計算式を作成
 売上に占める限界利益の割合です
 [限界利益] / SUM([売上])

 

 

 

その③ 変動費・固定費シート

▶︎ポイント

・チャートのベースは、変動費と固定費の複合軸(共有軸)を採用
 ただし、列に自動設定されたメジャーネームを、マークカードの「色」に移動してスタックを作成する(メジャーネームを列から削除して色へ移動)
 また、メジャーバリューのヘッダーを非表示にする
・縦軸(値)のスケールを15,000,000で固定
・マークカードのラベルには、メジャーネームを指定

 

 

 

その④ 利益シート

▶︎ポイント

・チャートのベースは、利益と総費用の複合軸(共有軸)を採用
 ただし、列に自動設定されたメジャーネームを、マークカードの「色」に移動してスタックを作成する(メジャーネームを列から削除して色へ移動)
 また、メジャーバリューのヘッダーを非表示にする
・縦軸(値)のスケールを15,000,000で固定
・マークカードのラベルには、メジャーネームを指定

 

 

 

その⑤ 限界利益シート

▶︎ポイント

・チャートのベースは、ガントチャートを採用
・行に、売上を配置。その上で、マークカードの「サイズ」に-限界利益フィールドを配置。
 -限界利益フィールドは以下の計算式で作成
 -(SUM(売上) – SUM([変動費]))
 ガントチャートの売上合計値から、限界利益をマイナス方面に表現する
 この場合、ダッシュボード上で、固定費が限界利益の棒グラフに食い込んだ場合、固定費が回収できていないことを示す
・メジャーバリューのヘッダーを非表示にする
・縦軸(値)のスケールを15,000,000で固定
・マークカードのラベルには、メジャーネームを指定

 

 

 

その⑥ ダッシュボードの組み立て

▶︎ポイント

・ダッシュボードタイトルを表示
・大枠で垂直コンテナを設定。その上で、クロス集計表を配置。
・大枠の垂直コンテナ内で、さらに水平コンテナを設定。その上で、左から、BEPシート、変動費・固定費シート、利益シート、限界利益シートを配置。
・水平コンテナ内に配置したシートタイトルを全て非表示
・水平コンテナ内に配置したシートの縦軸が15,000,000で固定されているか確認
・水平コンテナ内に配置したシートの縦軸ヘッダーを非表示にする

 

 

 

まとめ

 本日は、BEP(損益分岐点)の図表化を試してみました。重要なエッセンスとして、複合軸の作成方法、TOTALやRUNNING_SUMといった表計算関数の挙動の違いを理解する、あるいはリファレンスラインと固有値を絡めた表現方法などがありました。また、細かい点では、メジャーネームを外してスタックを作成する方法や、軸のスケールを固定する方法も重要なポイントです。
 BEP(損益分岐点)の図表化が必要な場合は、ぜひ、こちらを参考にしてアレンジしてみてください。
 経営指標については、こちらも参考にしてみてください。

Tableau(タブロー) 簡単な財務分析ダッシュボードを作る

財務諸表を理解する(その1)

財務諸表を理解する(2)- 指標編

 

 

 


BEP(損益分岐点)の指標に関する参考サイトはこちらです
https://www.robotpayment.co.jp/blog/accounting/7687/
https://sailing.p-kit.com/page159790.html
https://suzuki-tax.net/shacho-kyokasho/break-even-point

 

 

 

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