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オンライン動画講座開設時のプラットフォームについて

オンライン動画講座開設時のプラットフォームについて

 

 

 

はじめに

 弊社の事業の一つにトレーニング支援がございます。2016年4月の創業当初より、一般受講者様向けの教室講座(クラスルームトレーニング)をメインに運営してまいりました。そこでは、双方向でのやりとりにウェイトを置くため、最大6名までの少人数制で長い間、運営してまいりました(2019年6月末で教室講座を完了)。※24講座開催合計450回以上の開催実績がございます。

 2019年7月以降は、オンライン動画を展開するべく、着々と準備を進めております。オンライン動画講座を準備するにあたりいくつかの障壁がありました。その障壁の一つに、動画講座を配信する「プラットフォーム」の選定をどうするか、という大きな障壁があります。

本日は、この「プラットフォーム」の選定について書いてみようと思います。

なお、現在利用しているプラットフォームは、Vimeo オンデマンドです。

  https://vimeo.com/ondemand/seikihyogenga

 

 

プラットフォーム選定とウェブ戦略は密接不可分

 自社ビジネスの今後の足がかりとなるため、動画プラットフォームの選定はとても重要です。しかし、実際に管理者としていくつかのプラットフォームを試して使ってみるとわかりますが、どのプラットフォームもさまざまな特徴(メリット・デメリット)があり、またその差が極端です。

 そこでは、管理者視点での「使いやすさ」という単純な基準だけでは選定できませんでした。そこに、「誰が」視聴するのか、「どういう目的」で視聴するのか、「どのシーン」で視聴するのか、最終的に「どういう状態」になって欲しいか、といった十分な「戦略」視点と密接不可分です。その「戦略」がないと、一喜一憂し右往左往しながら、とても長い時間、このプラットフォーム選定に振り回されてしまうことになります。弊社もこの「戦略」策定もそこそこに、プラットフォーム選定に早い段階から取り組みましたが、結局、この選定に長い時間を用してしまい、最終的に「戦略」の練り直しを迫られました…

 

 

動画配信はストリーミングか?ダウンロードか?

 最初にハマりやすいポイントとしては、配信方式だと思います。まず、自社の「戦略」として、「誰」を幸せにしたいのか? 最初の一歩は、この一点に尽きると思います。ここを固めていかないと、この動画プラットフォームはダウンロード販売しか対応していないけど、はてこれで本当に大丈夫だったのか??といった問題に直面すると思います。このように、プラットフォーム選定ありきで話を進めてしまうとあらためて「戦略」視点が抜けていることに気づき、結局、仕切り直しとなってしまいます。

 

 

動画配信は個別販売(レンタル・買い切り)か?サブスクリプションか?

 次にハマりやすいポイントが販売形態です。大流行のサブスクリプションは耳障りがとても良く、ついついサブスクリプションありきで進めてしまいます。しかし、弊社でテストマーケティングしたところ、弊社に限っていえば、「全講座」のサブスクリプションはなんでもかんでもとにかく全部興味があり全部学びたいユーザー以外にはそれほど必要なかった、ということがわかりました。また、そのような集団もそれほど多いわけでもないことがわかりました。したがって、サブスクリプションのメリットはなく、むしろ、「単講座」でのレンタルあるいは買い切り販売の方が購入する側にはわかりやすくて都合が良いということでした。単講座では、サブスクリプション解除の手間が出てきます。当初思い描いたより、現在のところ、Tableauを学びたい人とGoogleアナリティクスやマーケティング手法を学びたい人の親和性はそれほど高くなかったということです。このあたりは、「戦略」視点の押し売りとなってしまいました。

 

 

既存プラットフォームの特徴

個人法人問わず、動画ビジネスがますます活発となる2020年以降において、オンプレミスで動画配信プラットフォームを一からすべて構築することはほぼないと思います。したがって、いきなり、高額の投資で理想のプラットフォームを手にするのは厳しいはずです。まずは、既存のプラットフォームサービスを検討しながら徐々にカスタマイズしたり、乗り換えたりすることになると思います。ここで、いくつか既存の動画配信プラットフォームを確認してみたいと思います。

 

YouTube

YouTubeプラットフォームを活用したアクセス権の販売は規約で禁止されております。例えば、非公開モードにしながらGmailアカウントで共有する方法でアクセス権を販売する方法があります(弊社もこちらの方法を検討しましたが断念しました)。また、限定公開で同様のことを実施する方法も考えられますがこちらも禁止です。そもそも、限定公開の場合、再生リスト利用(公開)されたり、埋め込み利用で拡散されるリスクが常にあるため性質的に適さないと思います。コンテンツ量・質ともに継続性が見込めるのであれば、対価としての広告収入で収益化できるでしょう。結局は、「誰を」を前提とした「戦略」次第だと思います。

YouTube利用規約

本サービスの利用には制限があり、以下の行為が禁止されています。

  1. 本サービスまたはコンテンツのいずれかの部分に対しても、アクセス、複製、ダウンロード、配信、送信、放送、展示、販売、ライセンス供与、改変、修正、またはその他の方法での使用を行うこと。ただし、(a)本サービスによって明示的に承認されている場合、または(b)YouTube および(適用される場合)各権利所持者が事前に書面で許可している場合を除きます。

 

 

Udemy

 Udemy

まずは、こちらを真っ先に検討すると良いのではないでしょうか。一流講師陣が集まり、プラットフォームの集客力自体も高いです。動画視聴数を見る限り、「設定価格」での販売がコンスタントに叶うのであればかなり瞬発力はありそうです。ただし、受講生のレベル感もかなり差があるため、レビューも高から低までかなり幅があるようです。受講者ターゲットをかなり明確に打ち出して必要のある人だけに受講いただく気遣いができないと評価が厳しくなりそうです。なお、弊社は受講生側として利用していた時に激安キャンペーンプロモーションの乱発を目にしてあまり良い印象がなかった点と、Udemyオーガニック集客の収益配分(50%-50%)にやや抵抗感があり、利用検討自体しませんでした。こちらも「戦略」次第、といったところだと思います。

 

 

Filmuy

 Filmuy

気軽にショップを立ち上げられたことから、しばらくこちらのプラットフォームを活用させていただきました。ストリーミングもダウンロード販売も可能です。無料プラン(4G)からスタートすることになるかと思いますが、本格的にはライトプラン(月額2,200)への乗り換えがすぐに必要になると思います。テストマーケティングとして良いのではないでしょうか。デザイン性、購入者のみにテキストダウンロードさせることができる管理方法、講座作成の簡易さや各種アイコン設定など、初期の運用時はその辺りをとても気に入っておりました。ただし、運用するにつれて、以下の点がボトルネックとなり運用を断念いたしました。

 ・カテゴリ設定はできたが、そのカテゴリ単位でサブスクリプションや個別販売の柔軟な設定ができなかった

 ・Googleアナリティクスの設置は可能  ただし、「動画視聴」状況の分析手段が一切なかった

 ・Googleタグマネージャ の設置も不可

 ・プラットフォーム側の集客力はプロモーション、SEO含め期待できず

 ・Udemyほどではないですが、手数料もトータル30%とそれなりに変動費もかかります。月額利用料を加味すると、Udemyよりも割高感があるかもしれません。圧倒的な集客力で比較した場合は、Udemyの方がコストパフォーマンスは良いという印象です。

 

 

moodle

  moodle

eラーニングシステムに加えて、プラグインを利用してPaypal決済と連携することでコースを前提とした動画販売も可能となります。講師みずから、受講生と綿密に連絡を取りながらメンター的な役割も担いたい場合はとても有効だと考えます。

「戦略」視点でみんなで励みながらスキルアップしたい受講生をおもてなしするには他にかえがたいシステムであります。他方、講師や参加者同士の密なコミュニケーションを前提として作られているシステムのため、ひとり黙々と独習したい受講生にとってはかなり不安になる機能が目白押しです。例えば、他の参加者を確認できたり、オンラインユーザーが一覧として共有されていたり、そこから、直接コンタクト取れるような状態であったり、ゲスト側からも参照可能であったりと、プライバシーの配慮が足りない印象です。逆に、これら秘匿性を担保するためにはかなりのカスタマイズが必要です。オンプレミスで運用する場合は、ファイルパーミッションの設定が初期で怪しい箇所がある、install後のファイル消去の扱いが自動消去でない、システムハックした場合の、そこに対するセキュリティ不安も常につきまとうため、動画作成に集中しづらい環境となってしまう可能性があります。メリットを重視して利用するのであれば、ホスティングサービスでの利用が良いと思います。

 

 

Base

Base

ストリーミング販売は無視して、動画「ダウンロード販売」のみを目的とするのであれば、このシステムを活用することを検討すると良いでしょう。ベースとなるECシステムに対してプラグインをアドオンする形で動画ダウンロード販売が可能となります。豊富な決済手段も魅力的です。今後のマーケティングに必要なリストも取りやすいと思います。ダウンロードのみの販売のため、「戦略」をしっかりと練った上で使用するべきだと思います。

 

 

Vimeo オンデマンド

  Vimeo オンデマンド

弊社が、現在、利用開始したプラットフォームがVimeo オンデマンドです。利用を開始したきっかけは、シリーズ(カテゴリのようなもの)単位でのレンタルまたはサブスクリプションをかなり柔軟に設定できる点でした。Udemyと比較して、プラットフォーム自体の安定性も特に問題ない印象だったため、こちらを最近選択しました(2020/01現在)。メールアドレスリストもプラットフォーム側から共有できるようなので今後のマーケティング展開にも活用できそうです。ただし、購入者のみにダウンロードさせたいファイル設定などの機能はなく、この辺りはFilmuyは使いやすかったです。また、海外プラットフォームを日本語訳されているため、ところどころ、違和感を感じる部分があります。また、納税申告書の提出が義務付けられており(法人の場合:W-8BEN-E)、不慣れな場合は手続きが面倒に感じる点です。手続きを完了すれば、源泉徴収はされず、日本の会計における決算時の処理で対応できると思います。詳しくは顧問税理士に確認してみてください。

 

 

まとめ

今回は、弊社がオンライン動画講座開設を実施するにあたって、その障壁となったポイントを簡単にまとめてみました。2020年以降は、5Gの影響もありコミュニケーションの在り方がリアルからよりバーチャルなデバイスにシフトすることになると考えております。その一旦として、今後も引き続き、オンライン講座配信を積極展開していけたらと考えております。

 

 

 

 

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