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財務諸表を理解する(2)- 指標編

財務諸表を理解する(2)- 指標編

 

 

財務諸表を理解する手がかりとなる指標とは

本日は、ざっくり財務諸表を理解するために手がかりとなる指標を俯瞰します。

指標は主に3つのカテゴリで分類できます。

まず、①企業の収益性の観点、次に、②企業の健全性の観点、そして、③企業の成長・永続性の観点です。この3つの観点で、以下、指標を紐解いていきます。

 

 

 

①収益性の観点でみるべき指標

(1)貸借対照表を使った場合

a) 総資産利益率(Return On Assets) ROA *Assets=総資産

b) 自己資本利益率(Return On Equity)ROE *Equity=純資産

c) 投下資本利益率(Return On Investment)ROI *Investment=投資

 

a) 総資産利益率(Return On Assets)ROA

(当期純利益 / 資産) * 100

総資産利益率とは、資産(借方)に占める、当期純利益(貸方の純資産の一部)の割合を指します。資産に対して事業収益で産み出された利益がどれだけ占めているかを示します。通常、8%以上あれば収益性は良しとされます。

b) 自己資本利益率(Return On Equity)ROE

(当期純利益 / 自己資本) * 100

自己資本利益率とは、自己資本(貸方の純資産の一部)に占める、当期純利益(貸方の純資産の一部)の割合を指します。株主から集めた資本からどれだけ利益を上げられたかを示します。こちらも通常、8%以上あれば収益性は良しとされます。

c) 投下資本利益率(Return On Investment)ROI

(営業利益 / (純資産+有利子負債)) * 100

投下資本利益率とは、投下資本(貸方の純資産 + 貸方の負債の一部の有利子負債)に占める営業利益の割合を指します。投下資本(純資産+有利子負債)からどれだけ利益を上げられたかを示します(費用対効果)。目安となる水準は一概にはいえませんが、誤解を恐れず強いていうならば、感覚値としては15%以上あると良いのではないかと考えられます。

 

(2)損益計算書を使った場合

a) 損益分岐点売上高

 

a) 損益分岐点売上高

損益分岐点売上高 = 売上原価 + 一般管理費 ※一般的には固定費+変動費

損益分岐点売上高とは、利益と損失が一致する時の売上高を指します。つまり、儲かりも損もしない時の売上高です。この損益分岐点売上高を超えてくると営業利益となります。

 

 

 

②健全性の観点でみるべき指標

(1)貸借対照表を使った場合

a) 自己資本比率

b) 流動比率(短期の健全性)

c) 固定比率(中長期の健全性)

d) 固定長期適合率(中長期の健全性)

 

a) 自己資本比率

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本(資産)

総資本(資産)に占める自己資本の割合をみます。総資本(資産)とは、他人資本+自己資本を足したものですので、当然、自己資本が多いほど良好です。通常、30%以上が望ましく、50%以上あると倒産の危険性は皆無といわれております。製造業であれば40%、それ以外では50%が一つの目安となります。

 

b) 流動比率(短期の健全性)

流動比率 = (流動資産 / 流動負債) * 100%

貸方の流動負債(1年以内に返済すべき負債)と、借方の流動資産(1年以内に現金化できる資産)の比率をみることで、流動負債を流動資産で賄えているかを確認できます。通常、100%を越えると流動資産が多いことを示します。健全といえるラインは、150%〜200%といわれております。

 

c) 固定比率(中長期の健全性)

固定比率 = (固定資産 / 純資産) * 100

借方の固定資産を、純資産(特に自己資本)で賄えているかどうかを確認できる指標です。通常、100%を切ると固定資産の方が少ないことを示します。当然、固定資産を純資産で賄えていることが理想です。したがって、100%以下であることを目安とします。

 

d) 固定長期適合率(中長期の健全性)

固定長期適合率 = (固定資産 / (固定負債 + 純資産))*100

借方の固定資産を、純資産+固定負債で賄えているかを確認できます。通常、100%以下であれば固定資産を固定負債と純資産で賄えているといえますので安全といえます。100%以上で危険と判断するのが一つの目安となります。

 

 

 

③成長・永続性の観点でみるべき指標

主だった指標はありませんが、下記の観点でみると良いでしょう。

(1)売上と利益の相関性

売上が上がれば、通常、利益も連動するはずです。売上が上がっているのに利益が上がっていない場合は、損益計算書からどの段階での利益が圧迫しているかを調べると良いです。例えば、営業利益はプラスだが経常利益がマイナスの場合、本業以外で問題があることを示しております。

(2)資産と利益の相関性 ROA , ROI

資産に見合った利益が上がっているかが重要です。資産が潤沢の割に、ROA, ROIの指標が低い場合、資産に見合った利益が産み出せていないことになります。事業が上手くいっていない可能性があります。

(3)自力成長かそれ以外か

M&Aなどを繰り返して成長している場合と、自力で成長するパターンがあります。どちらのタイプで成長しているかを把握する必要があります。

(4)外部要因か内的要因か

外的要因で成長したか、内的要因で成長したかを把握すると良いです。なお、外的要因にせよ、内的要因にせよ、ベンチマーク企業よりも成長比が高くないと成長しているとはいえません。ベンチマーク企業と比較することで把握可能です。

 

 

 

まとめ

今回は、財務諸表を理解する上で役に立つ指標を俯瞰してみました。あわせて、3つのカテゴリで指標を分類してみました。これらの指標を理解することが大切です。そして、指標の数値が上がると良いのか悪いのか、下がると良いのか悪いのか、目安となる基準はどこにあるのかを認識できるとより的確に状況を把握できるよになります。これを機に、ぜひ、指標を活用して企業分析してみてください。

 

 

 

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