※弊社代表の独断と偏見です。
仮説検証って結局なに?
2020.10.11 追加
今回のテーマ
今回は、「仮説検証」について考えてみたいと思います。
「仮説検証」の意味を検索してみると、
「仮説の真偽を、事実情報に基づいた実験や観察などを通じて確かめること」と定義されております。
参照)http://sv1-gms.globis.co.jp/dic/00541.php
この「仮説検証」がなぜ、必要となるのでしょうか。
突然、「仮説検証」が必要となるわけではないですよね。
それは、「問題解決」する過程で必要となります。
今回は、「仮説検証」を、問題解決する流れを確認しつつ理解してみます。
◆問題解決までの流れ
問題解決までの流れは以下の通りです。
仮説検証フェーズは、2. ①〜④です。
1. 【現状の問題点を把握】
2. 【原因の特定】
①ロジックツリー(LT)で原因となりうる要素すべてを洗い出す
②原因の仮説と根拠を考える
③分析手段・方法を検討する
④検証する
3. 【打ち手の整理】
4. 【実行】
実行計画
実行
1. 【現状の問題点を把握】
今回は、スタートアップ企業によくある問題をテーマにしてみます。
現状の問題点を把握)
自社セミナーへ参加する人数が次第に伸び悩む
初回は、かつてお世話になった人たちの参加もあり、盛況に終わることもめずらしくありません。満足度もアンケート結果では問題ありませんでした。しかし、回数を重ねるごとに次第に参加人数が減少し、ついには、最少催行人員を割る可能性も出てきました。スタートアップ企業にとって、優良顧客リストを集めることはとても重要です。なんとかして自社セミナーへ参加する企業を増やしたいです。なぜ、そうなったのでしょうか?
2.【原因の特定】
①ロジックツリー(LT)で原因となりうる要素すべてを洗い出す
原因となりえる要素を整理するには、ロジックツリーを利用します。
念のため、ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違いを先に確認しておきます。
形状的にはまったく同じですが、利用用途が違います。
ロジックツリーは、各階層がMECEであることがとても重要です。
ピラミッドストラクチャは、So What?とWhy So?の関係が上位階層と下位階層で成立していないといけません。
それでは、ロジックツリーを使って原因となりうる要素を洗い出してみます。
繰り返しになりますが、注意するポイントは2つ。
1つめは、各階層はMECEであること。
2つめは、対象となる企業が、下記のいずれかの要素に必ず分類できること。
②原因の仮説と根拠を考える
◆そもそも開催自体を知らないのではないか
・認知の機会は、ほぼ企業側の自主的な検索行動に依るから。
・twitterで告知しているが、そもそもフォロワーがほぼいないから。
・広告も出していないから。
仮説)企業の9割は単に知らないだけだろう。ここが最大の原因。
◆開催は知っていたが参加しづらいのではないか
・都内近郊以外からは地理的に遠いから。
・時間が夕方。就業時間帯は参加が難しいから。
・企業ブランドがないから。
・興味が湧かないから。
仮説)他社のセミナーも就業時間帯での実施がほとんど。場所も都内だから近郊の企業は問題なく参加できるだろう。また、セミナーテーマも一般的な企業の興味対象なので、ほとんどの企業が興味をもてるテーマだろう。おそらく、企業ブランドに信頼性がまだないからではないか。おそらく、7割は、企業ブランドに信頼が持てず、参加を躊躇しているのではないか。
◆繰り返しの参加が少ないのではないか
・1回参加してがっかりしたから。
・セミナーテーマ数が少ないので2回もいけば十分だから。
仮説)セミナー参加後の満足度は高かった。確かに、テーマは2つしかない。継続参加する価値はほぼ0だろう。
以上より、もっとも大きな要因は、セミナー認知度の低さだろう。
仮に、セミナー対象企業が100社いたとした場合、下記のような数値推移も出してみました。
セミナー開催を知っているのは10%程度。
そのうち、70%は参加していない。
継続参加は0%
③検証のための分析手段を検討する
・企業の9割はセミナー開催の事実を知らない
a) アンケート調査会社に調査依頼
セミナーテーマに関心がありそうな企業を抽出して実際にアンケート
b) サイト訪問者が「企業」の場合、サイト内でも併行してアンケートを実施する
(MAでシナリオ化)
⇨開催を知っている人には、「なぜ、参加しないのか?」その理由を必ず質問する
・開催を知っている企業の7割は企業ブランドに不安を感じた
c) 企業ブランドに関して、アンケートを実施する
(調査会社へ依頼)
(サイト内アンケートはMAでシナリオ化)
⇨企業ブランドに不安を感じた人に、「どのあたりに不安を感じたか?」を必ず質問する
d) ソーシャルリスニングを実施する
ブランドに対するセンチメント(ネガポジ)を把握する
・セミナーに2回以上来たいとは思わなかった
e) 一連のアンケート調査の流れで、参加したことのあると答えた企業へ「別のセミナーに参加しないのはなぜか?」を質問する
④検証する *データはダミーです
下記のようなデータを集計・加工できました(と仮定する)。
・セミナー認知度は40%と、想定よりもだいぶ認知されていた。
・そのうち、実際に参加した企業は10%。
予想の30%と比較すると、20pt下回っている。想定よりも参加していない。
・2回以上の参加も50%なので、思っていたより高い。
以上より、セミナー認知度がそれなりに浸透していたことを踏まえると、「なぜ、開催を知っていながら参加しないのか」に着目すると良さそうです。
〜アンケート結果〜 *ダミーデータ
「なぜ、開催を知っていながら参加しないのか」の理由について。
・初めて知った企業だから。やや信頼度に欠ける(14社)
・それを利用する時の用途が思い浮かばないから消極的(13社)
・集客目的の一般的な内容だろう。あとが面倒そう。(5社)
・都内でも、乗り換えが多く、やや行きづらい(3社)
・興味なし(2社)
3. 【打ち手の整理】
上記の結果により、打ち手を整理します。
ここでは、可能性のある打ち手は、実現性を一旦置いておいて、すべて洗い出します。
そのあと、ペイオフマトリクスで整理して打ち手を絞ります。
共催 →企業ブランドへの信頼度不足をカバー
利用用途啓蒙 →サイト内あるいは、動画広告などで啓蒙活動。利用シーンをイメージで醸成
セミナー参加特典 →参加企業のメリットも理解してもらう
地理的な理由 →ウェビナーで遠隔地からの参加を可能とする
興味なし →対応しない
今回、打ち手としては、
①3、4を真っ先に実施
②1のタイアップ企業をまずは模索する
③2、5を①の次に実施
④1のタイアップ企業と共同セミナー開催
このような順番が良さそうです。
4. 【実行】
ここでは、WBSを活用して、施策をスケジューリングします。
実行計画としては…
・次回セミナーまでに、3、4を完遂
・次の第3四半期までに、2、5を完遂
・年度内で、共済企業を必ずみつける
・次年度第一四半期で1を完遂
参考例)http://www.fujixerox.co.jp/support/xdirect/logical/pop_1101_01.html
まとめ
今回は、「仮説検証」を具体的に確認してみました。
また、「仮説検証」は、問題解決の一連の流れで必要になる、その役割と位置付けを確認してみました。
ビジネスでは、とかく「仮説検証」がもてはやされておりますが、そもそもしっかりと仮説検証されているケースは意外と少ないです(結構適当です)。
特に適当な部分が、MECEではないことが多い、点です。
「原因となりうる要素」をすべて洗い出す、「打ち手」を整理する時にMECEでないことが多いです。
みなさまには、これを機に、ぜひ、「仮説検証」自体をチェックしてみてください。